中国雑感323 中国人と自由民主・基本的人権の尊重等の欧米日先進国の常識

 中国人に我々の常識である自由民主主義・基本的人権の尊重等や中国国内での酷い貧富の格差を話すと納得がいくような顔をする。

 しかし、欧米日の先進国の話をすると中国人にとっての恥・屈辱の忘れたくても忘れられない黒歴史である欧州のイギリス・ドイツ・フランス・イタリア・ロシア、そして日本に中国の国土を蹂躙され反植民地の状態にされたことが条件反射的に頭に浮かぶようだ。

 そういう理由からか、中国人に中国共産党の独裁ファシズム政治体制及び億万長者の共産党幹部による中国国内の植民地化を批判しても、欧米日に対する上から目線の威張り腐った中国共産党政府の対外姿勢には喝采を送りたくなるような心地良さも感じるようで、「ヨーロッパや日本は中国人に何をした?」という答えが返って来る。中国人の人権を無視した欧米日が先進国面して説教がましいことに腹が立つようだ。欧米日に頭が上がらなかった中国がやっとものが言えるようになったということが嬉しいとしたら、中国国内にも、先進国的常識を持った中国人は勿論いるが多くの中国人達に香港やウイグルでの人権弾圧を欧米日の先進国の道理で批判しても納得してもらうのは難しいかもしれない。

 香港をめぐる英国と中国の対立については、中国人には「英中の香港をめぐる国際合意違反?人権の尊重?中国にアヘンをばら撒いた英国が何を偉そうなことを言う?」という気持ちがある。日本・日本人に対しては、幼稚園・中学校・高校・大学での反日教育・洗脳を通じて幼児期からの底なし沼のような根の深い反日感情を植え付けられているせいか、中国人から「日本鬼子・小日本には基本的人権の尊重のようなきれいごとを言われたくない。日本人から言われると腹が立つ」と怒られたことがある。中国人の間で暗黙の了解と言われる反日の前に、中国人に道理を説いても理解してもらうのは難しい気がする。道理や常識の理解納得というゴールの前に反日感情というハードルが思考回路にあるようだ。

 大昔に中国から文化や技術を学んだ日本(中国国内での反日教育・ディスカウントジャパンの理屈によく使われる)には説教される謂れはないという感情的な反発もある。韓国に道理が通らない原因にも「中国文化・技術を日本に伝えてやった」という気持ちがある。隣国人達と話すと、過去から未来へと時空を駆け巡る隣国達のハイレベルのへ理屈に本当に疲れることがある。

 

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              雲南省緑春市の風景

 欧米日を含めて対外的に近代国家と思えないような「オーストラリアは靴底にくっついたガム」、英国で女王の晩餐会に習主席が招待されて「おいぼれの英国が、中国にひざまづいた」、「小日本(これは放送禁止用語になっていなくて日常でよく耳にする)」「14億の人民を敵に回す」「後悔することになる」等の品格を欠いた近代国家とは言えないような言動が中国の外交面で頻繁に出て来る。これらの上下下位・力の強弱を全面的に出す姿勢は、中国人民ウケも狙った国内政治用のプロパガンダの側面もある。中国の外交は、中国の内政そのものと言われることがあるのに納得がいく。14億の人民をまとめて行くには、海外での評判を考えている余裕がないのかもしれない。

 過去の屈辱と栄光(昔の中国王朝の人間・民族と今の中国共産党王朝のそれらが同じかいなか議論のあるところだが・・・)が、現代中国人の思考回路に影響を与えているようだ。

 欧米日に留学しているか住み着いている中国人達の中にも、自由民主主義・基本的人権等の普遍的価値観に日常的に接しているのにも拘わらず中国共産党の独裁ファシズム政治体制にシンパシーを感じる者がいるのは不思議だ・・・。