中国雑感32。中国の腐敗構造 

 1990年代に中国の大都市の市長の娘と外国で出会って話をしたことがある。天安門虐殺の後で中国がこれから経済発展をするという時期だったので非常に違和感を覚えた。当時の中国と言えば農民だけでなく国民の殆ど貧しい状態だった。中国人がパスポートを所持して海外を個人で旅行するというのは考えられなかった。

 2000年代にも中国で某国営大企業の総経理(社長)の娘と話したことがある。父親の給料は、上述の市長のそれは日本円で2万円ぐらいと言ったと思うが、20万円位と聞いたように思う。日本人から見てもとても高給と言えないものだった。

 いずれも生活実態は、大金持ちであった。中国人の学生達は、「公務員の給与はお小遣いで、賄賂が本当の給与、所得」と言っていた。

 中国共産党は中国人民の共産党に対するイメージを清廉潔白にしたいのか、今でも中国共産党員の収入実態とかけ離れた公務員の給与体系を低額に設定している。冗談レベルの給与体系である。

 中国の公務員になるには、試験に合格する必要がある。しかし公務員試験に合格するのは至難であるが、合格すれば許認可権に応じて賄賂が追いかけて来る。合格率は60倍とか学生達が言っていたと思う。共産党の幹部となると、許認可権の権化みたいなもので賄賂は莫大だ。

 中国政府が、給与体系を実態に即したものにしたら賄賂がなくなるのだろうか?否、中国の伝統からすると、難しいのではないだろうか・・・

  同じ中国人系のシンガポールや中国本土の中国人が流入する前の香港では、公務員の腐敗はあまり聞いたことがないが、中国大陸から台湾に渡って来た国民党には腐敗がある。英国の植民地だったので、英国流の法治主義の影響だろうか・・・

 日本人の常識からすれば考えられないことだが、中国の企業では債務の支払い時期を引き延ばして払わないで済ます会計係が評価されるし、家庭では賄賂を取って金を稼いで家に持って帰る夫・父親が評価される。大学では、一流大学であろうが二流大学であろうが、大学生達は平気でカンニングをする。女子学生がスカートの下の太ももにメモをしているのに気が付いた時は、私はほぼ即死状態。

 中国では、道徳的にどうかなと思われることをしても、「神様が見ている」という発想は唯物論・唯金主義では出て来ないと思う。中国人と日本人の価値観が違い過ぎるので、科挙時代から続く伝統文化である賄賂の習慣はなくならないと思う。

 中国では、公務員・女性・賄賂が三位一体、しばしば脅迫付きが腐敗構造。この腐敗構造を海外に持ち出して間接侵略・シャープパワー行使、腐敗は中国国内だけで楽しんでいただきたいと思う。

 

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             中国雲南省六庫市と怒江